100 / 132
(Side歩叶)
体育祭の日。俺は彼方の事を呼んだのに周りの女がまとわりついてきて彼方に近づけなかった。急に彼方の顔が険しくなったと思ったらすぐに走り出してどっかに行ったから探したら保健室で女といた。彼方の事だからそいつと遊んでたわけじゃないって分かってんのに怒りが湧き上がってきて思ってもないことを言ってしまった。これが自分でも醜い嫉妬と独占欲と分かっているから余計に腹が立った。
「歩叶く〜ん!ウチに来てよぉ〜」
「え〜歩叶君はウチに来るんだよ?」
どっちの家にも行かねーし。てか彼方以外興味ねぇからなんも感じねーし…
「ピロピロ」
不意に鳴ったメールの着信音に気づきすぐにその場から走って男子トイレに駆け込んだ。メールをくれるのはアイツしかいない。
"歩叶君へ
保健室に来て。早く来ないと彼方君がどうなっても知らないよ?入ってくるときは静かにお願いね。金崎"
メールの送り主は彼方では無く彼方の携帯を使った金崎だった。
メールに書かれていることを理解し、すぐさま保健室に向かう。入ってくるときは静かにってどういうことだ?まあとにかく早く行かないと
「失礼します、彼方は?」
「寝てるよ、それよりも話があるから来て」
俺は近くの椅子に座って耳を傾ける。
「彼方君の今の状況知ってる?」
「は?なんでそんなの…てか俺のせいなわけ?」
「まあ、そこら辺は後で彼方君に聞いて…今二人は避けあってるでしょ?それが彼方君の負担になることは分かってる?」
「だって…俺のこともう嫌いなんじゃ…」
昔にもあったこの感じにまた彼方に何かが起きてるって事はすぐに分かった。
「彼方君は不安で不安で仕方なくて薬…精神安定剤を必要以上に摂取してるんだ…そのせいで彼方君の体調が日に日に悪くなってる…僕は口止めされたからこれ以上はもう言わないけど、また彼方君に何かあったら責任は重いよ?僕は今から出張に行ってくるから彼方君のそばにいてくれる?」
そう言うと金崎は出ていった。
ともだちにシェアしよう!