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嫉妬

ん… 手が温かい… すぐ近くに愛おしい姿がいるような気がするけど目を覚したら結局は誰もいない気がして起きたくない。 歩叶君に会いたい… 「ん…歩叶君…」 「彼方」 凄くいい夢を見てる。手を歩叶君に握って貰いながら名前を呼ばれている夢。 「ん…っ!えっ!」 目がはっきりと覚めそこにいたのが本当に歩叶君だと気づき思わず間抜けな声を出してしまった。 「彼方…ごめん」 「なんで…戻って…」 いつもの冷たい口調から一変して柔らかい口調に戻っていた。 「金崎から話聞いた…」 「美晴先生から?」 「うん…でも全部じゃねえよ…彼方がまた苦しんでる事しか聞いてない」 美晴先生にあれだけ言うなと言ったのに良くも簡単に言ってくれたな!でも、そんなこと気にならないぐらい今、ここに歩叶君がいることが幸せで嬉しくて本当に夢を見ている気分だった。このまま僕から離れていくと思うともっと酷くなっていたかもしれない。 「僕…歩叶君が女の子達に囲まれているの見て…ここが苦しくなってきて耐えられなくて逃げただけなんだ…そこに偶然光ちゃん…美晴先生の妹さんが来て僕にコーヒーを出してくれただけで他には何もしてないよ?」 「逃げた?俺が女といるの見て苦しくなった?え?彼方それ…嫉妬してるって気づいてないの?」 「嫉妬…?僕嫉妬してたの?!」 2文字の言葉が脳内を巡って必死に理解しようとするけど何も分からない…初めての感情で苦しくなるこの思いは嫉妬だったんだ… 「やべ…ちょー嬉しい…彼方俺も嫉妬してた…俺のこと見たと思ったら逃げ出して探したら金崎の妹?とお前が一緒にいるから…ごめん勘違いしてた」 「歩叶君も嫉妬してたの…?」 歩叶君と僕が同じ気持ちでいることが凄く嬉しくて涙が出そうになった。

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