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合否(Side歩叶)
「始め」
先生の声と共にペン先を動かす。周りの音が消えて目の前にある問題用紙に集中する。教科は英語。目の前の英文を瞬時に訳していき解答欄に記入をする。
あれから10日経って、2年の進級試験を受ける日がやってきた。俺自身実年齢は19歳だから全く問題ないけど周りの奴らには歳を誤魔化してるから、この後が一番大変だ。どうやって誤魔化すか…
「残り5分なー」
担任の声が響く。彼方のおかげて問題なくスラスラと解くことができた。テスト終わったら久しぶりにヤリたいな…なんて考えながら見直しをする。絶対に受かってるだろうけど、俺の場合ケアレスミスが多いから見直しをしたほうが良いと言うことは昔からよく分かっている。
「終わりだ、ペンを置けー」
1教科50分で9教科ぶっ通しでやったから正直辛い。
「採点するから少し待ってろ」
他の教科は俺がテストを受けている間に採点をしていたらしく残った英語だけを採点するらしい。
「終わったぞ…春咲ってこんな頭良いのか?全教科満点だけど…」
「マジすか…」
まさか満点取れるとは思わなかった。最低でも90点以上だとは思ってたけど…
「ってことでもちろん進級試験は合格だ…教科書とかは後日渡すから登校は…んー…明後日の火曜からで、じゃあ解散」
「…」
なんかあっけなく終わったな…でも受かったってことはずっと彼方といられる訳だし彼方も教室登校になるみたいだし。
「最高じゃんか…」
「受かっただけで惚気んな」
「金崎…なんでここにいんだよ」
目の前には教室のドアにもたれかかる金崎が居て俺の事を睨んでいた。
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