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僕の過去
僕が朔也の事が好きだと気付いたのは中3ぐらいの時だった。
僕らは幼稚園の頃から一緒でいわゆる幼馴染というやつで仲が良くて喧嘩なんて一回もした事が無い程の仲だった。
「じゃー進路希望調査の提出期限は来週の金曜だから忘れんなよー、解散」
中3の1番の大イベント、受験。僕はまだどこに行くかなんて全く決めてなかった。とりあえず朔也と同じ所に行こうかな?ぐらいにしか考えてなくて、この時点では希望調査は空白だった。
「朔也ー!帰ろうー」
解散の合図が出て次々と教室を出ていく中で僕は朔也の元へと向かう。
「ごめん、今日ちょっと約束があるから一緒に帰れない」
「んー分かった…バイバイ」
帰れない寂しさでしょんぼりしながら家路へ向けて歩いた。
「ただいまー」
家に着いてからは何となくベッドにダイブしてそのまま夢の世界へと。
「ん…お腹、空いたな…」
目が覚めてから空腹を感じ、コンビニへ行こうと家を出たら隣には見覚えのある姿が二人立っていた。
「朔也と高崎さん?」
一人は隣の家の朔也。もう一人は同じクラスの高崎 美穂 さん。美人で頭が良いと周りからの人気も絶大な者だった。
どうやら僕がかけた声に気づいてないみたいでそのまま二人の影は重なった。ただハグをしただけなのか、それともキスをしたのかは暗闇ではっきりとは捉えられなかった。
瞬間に僕の中で何かが崩れ落ちて耐えられなくなった僕はドアを乱暴に開け家に入ろうとした。けどそれは止められた。
「美晴!」
「え?美晴君?」
声をかけられてしまってその場から動くことができなくなり溢れそうになる何かを堪えて後ろを振り向いた。
「居たん…だ!どうしたの?」
少し声が震えて掠れた気がする。
「どうしたって…美晴…泣いてるぞ?」
泣いてる?この僕が?何?この感情…知らない、知らないよこんな感情…
「っ…ちょっと…さっきまで映画見てて、それが感動しちゃってっ…僕…勉強しなきゃだからまた明日…」
「ちょっ!待てって!」
後ろで何か言ってるけど全て無視してとりあえず中に入りたい一心で自室に向かった。
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