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気まずい
この気持ちをはっきりと気付いてしまったからには意識せざるを得ない。
「あ…あのさ…どこの高校行く?」
少し遠慮気味に問いかける。
次の日になって、いつも一緒に学校に向かっている朔也には顔なんて合わせられなくて…いや、正確には合わせたくないのかもしれない。それで家を早く出たら目の前に朔也がいて…
バスケ部のスケットで呼ばれてた朔也は今日から朝練があるらしくてそのまま一緒に行くことになった。
「高校?決めてない…」
そう言いながら前髪を触る仕草は幼馴染である俺には何回も見てきた事で嘘をついてる印だ。
「……そう、なんだ…」
「うん…」
沈黙が傷ついた心をさらに抉っているようでとにかく早く学校に着きたい一心で自然と進むスピードが速くなる。
「昨日の…」
後ろから、聞こえてきた「昨日」という言葉で一気にスピードが落ちる。心臓が脈打って嫌な汗が出てくる。
「?…昨日って?あー!高崎さんと付き合ってたんだね!知らなかったよ!何年も一緒にいるのに知らない事なんてたくさんあるんだね…ッ…お似合いだし良いと思うけど幼馴染を取られた感じはちょっと嫉妬するかな…なんてね」
「美晴…」
不意に呼ばれた名前が今は憎くて仕方なく感じた。好きな人にこれだけ名前を呼ばれるのが辛いなんて…
「なに?」
「泣いてる…」
「はっ?そんなわけ…」
すっーと伸びてきた手が僕の目元に触れようとする。
パシッ
「痛っ…」
何をしたんだろ…僕は今…
「ごめん!ちょっと用事思い出したから先に行くっ!」
その場を全力疾走で離れて公園に逃げ込む。
「ふっ…ふぇー…」
とめどなく流れる涙に体中が震えてこれだけ好きになってしまったのだと自分を恨んだ。それからは朔也を避けるようになって再開したのは同窓会でだった。
お互いに昔のことなんて何も無かったみたいに振る舞ってまた仲良くなっていて今に至るわけだ。
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