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Side朔也
「もとはといえば俺が全部悪かったんだよ」
「何を言って…」
全く意味が分からないような顔をしてこっちを見てくる美晴に全てを話そうと決心した。
「中学の時な、俺高崎?ってやつと付き合ってただろ?」
「う…うん…玄関の前で二人で抱き合ってたり…」
そういう美晴の声は少し震えていた気がした。
「俺は別にあいつの事好きでもなんでも無かったんだよ、あんときな、俺は気づいてたんだよ…今と同じ気持ち、美晴が好きだって事に」
一瞬で美晴の表情が驚きのものへと変わってあたふたしている姿に少し面白くて笑ってしまった。
「信じたく無かったんだよ…俺は美晴が好きで気づかないうちにとても惹かれていたんだってことに、もちろん同性に恋心を抱くなんてことも信じたく無かった…だからあの女と付き合って俺は美晴が好きじゃないと自分に言い聞かせたんだ」
「…なんでっ…」
大きく深呼吸をし、目の前の愛おしい姿をしっかり見つめる。昔のように逸らすことなく。
「はっきり言う、俺は金崎美晴が好きだ!もしも美晴も俺と同じ気持ちでいてくれるなら付き合ってい欲しい…絶対に幸せにするから!」
「っ……」
「駄目か?」
「なんでっ…なんで僕なの?」
帰ってきた返答は期待していたものでは無かった。唇を噛み締めて溜め込んだ涙を溢すまいと必死に耐えてへにゃへにゃになった顔で俺を見つめる。
「あれだけ…傷つけたのに……なんで…なんでそんな平気な顔をして…いられるのっ…僕をもっと恨んでよ!」
「美晴…恨んで無い…」
「嘘だ!僕はあれだけ酷いことをした!高崎さんと付き合っている事を知って勝手に嫉妬して!朔也は何も悪く無いのに勝手に無視して避けて…挙げ句の果てには朔也に女性恐怖症なんていう鎖を着けて…ははっ…可笑しくなったんだよ…女が怖くなって…だから僕が好きだと勘違いしているんでしょ?」
「だから…俺は女性恐怖症になる前から好きだったって…」
「それも何かの勘違いだよ…受験勉強で頭が可笑しくなったんじゃない?第一男を好きになるなんて有り得ないでしょ?」
頭の中で響いた大きな音と共に俺の中で何かが切れた。
パシッ!
「っ!痛いじゃ…」
「五月蝿え!いい加減にしろ!俺はどこも可笑しくないし勘違いでも無い、恨んでもねぇよ!あんとき俺がどれだけ悩んで苦しんでっ!嫉妬したって聞いて嬉しかった…例えその嫉妬が幼馴染としての独占欲のようなものでも!それから男が男を好きになるのの何がいけない?周りの反応?気持ち悪い?」
駄目だ。止まんねぇ…今まで溜め込んできた物が一気に溢れて俺自身も何を伝えてんのか分かんなくなってきた…
「だったらどうして俺がお前に優しくする度にあんなに嬉しそうにしてた?なんで俺が高崎と付き合っている事を知って泣いてた?それはお前が俺に少しでも気があると思ってた…これも勘違いなのか?」
「それはっ…違う…勘違いじゃない…確かに…僕は好きだった…」
「ならっ!」
その言葉をずっと待っていた。美晴からその言葉をずっと聞きたくて…
「あれだけ酷いことをしたのに僕がこんなに両想いになって付き合って幸せになる権利なんて無い」
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