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第4話
『えぇー、では、皆様お揃いのようですので始めさせていただきます。まずは、◯◯会社専務ーー様からのご挨拶です…』
『先輩!先輩!』
『なんだよ?』
『挨拶長いっすね。』
『しょうがねぇだろ?今日は取引先の会社が何社も集まっての合同懇親会という名の飲み会なんだから。』
『何人挨拶するんだよー。早く飲みてー。』
俺の横でボヤいているこいつは、後輩の加藤。
うるさいやつなんだけど、俺の言うことはよく聞くし、仕事も任せられる。
なんだかんだ可愛い後輩なんだよな〜。
『では、カンパーイ!』
『『『カンパーイ!』』』
よし、行くか!
と、気合いを入れ、ビール瓶片手に歩き回る。
こういう時下っ端はこんな風に忙しく動き回らないといけないから嫌なんだよな〜。
俺も30だし、そろそろ出世でも…
そう思うが、なかなか上の空きが出ない分当分は無理だ。
『先輩!部長が呼んでます!』
『あ、はいはい!今行きまーす!』
右へ左へと、ビール瓶を片手に移動する。
元々そんなに言うほど酒も強くないし、飲まされてはあっちへ移動、飲まされてはこっちへ移動…そのせいでなんだか頭がボーッとする。
それでも接待というのは待ったなしで、呼ばれてはお酌を…そして返杯の繰り返しで、俺は浴びるように酒を飲んでいた。
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