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第12話

『これでも思い出しませんか…?』 はぁ…と、溜息を吐きながら瀬木さんが俺の胸ぐらを掴む。 『ちょっ!えっ!な…んっ……』 グイッとそのまま引き寄せられ、唇には生温かい感触…。 ……キス…? 『ほんとに覚えてませんか?』 俺の胸ぐらを離し、ドサッと椅子に腰かけた瀬木さんがこちらを見る。 あまりにも突然の出来事に呆然とする俺。 そんな俺を少し寂しそうな目で見つめる瀬木さんを俺も見つめる。 …………あ! 『あの時の!』 グルグルと思考が回って忘れていた記憶が蘇る。 またしても、はぁ…と溜息を吐きながら瀬木さんがヤレヤレと俺を見た。 あの時とは…そう、あの時。 会社の接待宴会が終わり、トイレに吐きに行ったときのこと… あと後、加藤に部屋まで連れて行ってもらったらしく、目を覚ました時に見知らぬ男性が俺の肩を担いで出てきたと聞いていたが、その男性が瀬木さんだったのだ。 しかもゴッソリ抜けていたはずの記憶がどんどんと蘇り、俺の顔は赤面していく…。 う… 完全にやってしまった… 何をかというと、俺と瀬木さんのキスは今回が初めてではない。 というのも、俺の記憶が正しければ吐いた後個室の中でウーウー唸っていた俺を心配した瀬木さんが個室のドアを叩き、扉を開けると同時に中に押し入ってきたのだ。 そこからなぜかキスへと発展して… 『って、あっ!』 『なんですか!?』 いきなり叫んだ俺に驚いた瀬木さんがビクッと体をすくめる。 本気でやってしまった… キスの後なぜか瀬木さんが俺の股間を(まさぐ)って… とろけそうなぐらい気持ちいいキスと相まって自ら強請(ねだ)るように腰を振る俺に応えてか、瀬木さんが俺のズボンのベルトを外し、下着まで下げてしまうと同時に俺のムスコを口に含んだ。 あまりの気持ち良さにすぐに果てた俺は、その後すぐにまた吐き気をもよおし、嘔吐して… あ…俺本当アホだわ… あの目覚めた時のスッキリ感というか、爽快感はそのせいか… ………うん………理解しました…。 恥ずかしすぎて俺は俯いたまま顔を上げられないでいた。

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