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第10話

そうして夕方… みずきが仕事から帰ってくる。 「ただいま」 「あ、おかえりー、良かった」 1人で手を焼いていたので、みずきの顔を見てホッとする。 「パパ帰ってきたよ、りくと」 「いや、パパじゃないから…お疲れ様、大丈夫か?」 一応否定しつつ、アキラの頬に触れ、労いながらキスをする。 そしてりくとを抱き上げる。 「まあ、なんとかなったけど、疲れた」 「少し休んだらいい、しばらくみているから」 「でも、夜の仕事は?」 みずきは昼夜掛け持ちでコンビニ店員をしている。 「来週と代わってもらって行かなくて良くなったから、心配しなくていい」 「そっか、オレとしてありがたいけど大丈夫?」 「あぁ、少し休んで」 「わかった、じゃ少し寝てくるな」 「おやすみ」 みずきはその間にりくとのオムツを替えて、ご飯を食べさせて、次は自分たちの夕食を作り始める。 りくとは、キッチンに立つみずきの足元で、つかまり立ちをして、おもちゃをキッチンの戸に当てて音を出して遊んでいる。 とりあえず、りくとを蹴飛ばさないよう気をつけながら作業をして、夕食も無事出来上がる。 そして、りくとを抱いて、寝ているアキラの様子を確認にいく。 アキラも変わりなく休んでいる様子… みずきは安心して寝室を出る。 そうしてしばらくりくとの相手をしていると、アキラが起きてくる。 「あ、アキラ…休めたか?」 「ん、ありがと…」 「夕飯食べるか?」 「うん、何作ったんだ?」 「簡単にスパゲティにした」 「そっか、食べるよ」 「なら持ってくるから」 「…ありがと、りくとおいで、りくとのご飯は?」 「さっき少し食べさせたから、もう少し後でいいと思う」 「そっか、じゃいいか」 「もう眠そうだから抱いてたら寝るかもしれないな」 「みずきじゃないと寝ないかも」 アキラが抱くと、もじもじしてじっとしていない様子。 「なんでだろ、しかもこの子、パパははっきり言うのにママは全然言わないんだよな、ウマウマとは言うのに」 続けて疑問を呟くアキラ。 「ウマウマはご飯のことだろうな」 答えながら夕飯をテーブルに並べる。 「たぶん、ま、いっか食べよ、いただきまーす」 「あぁ、いただきます」 みずきはハイハイしてきたりくとを膝に抱き、ご飯を食べ始める。 食後もなんやかんやで時間は過ぎて、あっという間に就寝時間。 とりあえずりくとを寝かしつけて、アキラとともに布団に入る。 「寝顔、可愛いな」 「あぁ、寝たらほっとするな」 りくとを挟んで、向かい合わせに小声で会話する2人。すやすや眠るりくとに癒される。 「りくとは育てやすい方なんだろうけど慣れないと育児は大変だな」 「まぁ自分の時間がとれないしな」 「けど、みずきはいつでもパパになれそうだな、扱いなれてきたっぽい」 「いや、俺もいっぱいいっぱいだから」 「ふ、明日で3日目か、そう考えると寂しい気持ちもあるな」 「親が迎えに来てくれるといいが…」 「大丈夫、来るよ」 「あぁ、アキラ…」 みずきはアキラの髪を撫でて、そのまま親指で可愛い唇をなぞり… 「おやすみ」 そう囁いて口づけをする。 「ん、おやすみ、みずき…ふ、今日もできなかったな、エッチ」 「…りくとがいるうちは」 「夫婦ってこうやってセックスレスになっていくのかな?」 「アキラ…」 「でも、困難な状況でするスリルを味わえるかもだけど」 「スリルを味わう必要はない気がするけれど」 「そう?ま、みずきはそういう冒険はしないタイプだもんな」 「そうか?」 「うん、じゃ明日も子育てがんばろうな」 「あぁ、おやすみアキラ」 そうして2日目もなんとか乗り切ることが出来た。

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