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喫茶店のオーナーと甘党の彼_4
二人で過ごす時間。話す事がなくとゆっくりと流れていくその時が心地よい。
時折、目が合うようになったのも嬉しい事の一つだ。
「江藤先輩、行ってきます」
「あぁ、いってらっしゃい」
いつも丁寧にお辞儀をして店を出ていく大池を見送りカウンターでため息をつく。
関係が進展するわけでもなく変わらない日々。それで満足していていいのかと心の奥の自分が問いかける。
だが告白をしたとしてそれが失敗してしまったらとそう思うと怖くて何も出来なくなってしまうのだ。
折角手に入れた大池との時間を江藤は失いたくなかった。
※※※
店に来れないときは前の日に連絡をくれていた大池だったが今日はまだ連絡がなく、きっと忙しいのだろうとその日はこちらからも連絡をすることはなかった。
だが、次の日もさらに次の日も喫茶店に顔を見せない所か連絡もない。
流石に大池の身に何か起きたのかと心配になり電話をするが出ることもなく、ならばとメールを送ったのだがその返事もない。
「信崎に聞いてみようか」
信崎 は高校の時からの友人であり元同僚でもある男だ。彼は大池が新人の時にの指導係をしていた事もあり、自分以外に仕事の相談をしている姿を何度も見かけたことがある。
今、大池が一番に頼りにしているのは信崎だろうから、彼が今どんな状況なのか知っていそうだ。
信崎に連絡を入れようとスマートフォンを手にした矢先に、ドアにつけられた鈴がリンと音をたて客の来店を告げる。
「いらっしゃいませ」
「江藤さん、近くに来たんで」
と手をあげて声を掛けるのは元同僚の後輩だ。
カウンター席に腰を下ろした後輩にお冷と手拭きを出し何にするかと尋ねる。
「アイスコーヒーで」
「かしこまりました」
伝票に書き込んだ後にアイスコーヒーをコップへ注ぎ差し出す。
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