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喫茶店のオーナーと甘党の彼_7

 目を見開き、息をのむ。 「こういう意味で好きだよ。俺は大池の事」  大丈夫かと大池の肩を摩りながら言えば、その顔は当惑していた。 「キスされて嫌だったか?」  親指で大池の唇のラインをなぞれば首が横に振られる。 「嫌じゃないです。それ所か胸の鼓動が落ち着かない事になってます」  ぎゅっと胸の前で自分の手を包む大池の顔は熱を帯びて真っ赤になっていた。 「おま……」  それがあまりに可愛すぎてもう一度口づけすれば、大池は自分なりに必死で応えようとしてくれいるようで舌を出して絡めはじめる。 「ふぁっ、せん、ぱい」  とろんとした目で江藤を見る大池をこのまま如何にかしてしまいたい気持ちを抑えてバスルームへと押しやる。 「今はまだここまで。まずは体を暖めなさい」  そういうとバスルームから出ようとする江藤に、待ってと大池がシャツの袖を掴み。 「そうか、俺、そういう意味で先輩の事が好き、みたいです」  ふわりと少しだけ笑顔を見せる。  その可愛さに抑えていた気持ちが溢れ出そうになり、ごゆっくりと言って江藤はバスルームを後にする。  それからすぐにシャワーを使う音が聞こえ、ソワソワとする気持ちを抑え込んで着替えの用意をしに寝室へと向かった。 ※※※  大池からのはじめてリクエストは「チョコレートクリームがたっぷりはいったパン」だった。  パンを割った瞬間にとろりと流れるクリームに、目をきらきらさせて見せる。 「凄い」  手についてしまったクリームが手首を伝ってシャツについてしまいそうになって。  あわてて布巾でそれをふき取れば、むっとした表情で江藤を見る。 「勿体ないです」  そこまでチョコレートが好きなのかと思い、子供っぽいその姿につい笑みを浮かべてしまう。 「悪かった」  じっと江藤を見て。 「折角、江藤先輩が俺の為に作ってくれたパンなんですから」  頬を赤く染めて言う大池から熱が伝染する。 「お前がそんな可愛い事を言ってくれるようになるなんてねぇ」  江藤は照れ笑いを浮かべ、大池の唇に触れて口内を味わうように舌を絡ませれば、仄かに甘いチョコレートクリームの味がした。 「うん、美味い」  自分で作ったチョコレートクリームも可愛い大池も。  こういう事に不慣れな大池は恥ずかしさを隠すようにパンを食べだす。  チョコレートパンが甘いので、今日は砂糖の入っていないミルクたっぷりのカフェオレを一緒にいれてあげた。  そのカフェオレを一気に飲み干し、一瞬、苦かったのか眉を顰め。カップをテーブルに置いて一呼吸。  そして、大池からカフェオレ味の口づけのお返し。  ほんのり甘さを感じるその口づけに、江藤は大池の腰へと腕を回してその身を引き寄せた。 【菓子パンと後輩の彼・了】

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