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喫茶店のオーナーと甘党の彼_9

◇…◆…◇  信崎に誘われて同僚と共に酒を飲んだ。  会社の人と共に飲みに行く事をあまりしたくないと思っていた大池だが、江藤と付き合うようになってから考え方が少し変わってきた。  江藤は客と話をするのが好きだ。色々な考えを持った人と話すのが楽しいし、時に教わることもあるのだと言っていた。 「コミュニケーションは大事よ」  と頭を撫でられてニカッと笑う江藤の姿を思いだし、信崎の誘いを受けたのだ。  珍しい事もあるもんだと同僚に言われ、それでも誘いにのってくれたことを喜んでくれた。  たまには一緒に酒を飲むのも良いなと思いながら、そのことを報告するメールを江藤におくった。  で、何故、自分の知らぬ間にこうなったのだろう。  江藤から「仲良いな」という件名と共に送られてきた添付メールを見て机に突っ伏した。  何時の間に撮ったのだろうか。  誰かに指示し撮らせたのだろう、肩を組まれて信崎の方へと引き寄せられた姿が撮られていた。  やたら馴れ馴れしいと思っていたのだ。もしもこの写真を江藤に見せる為にしたというのなら、彼は一体何を考えているのだろうか。  信崎は江藤の友人であり自分たちの関係を知る一人だ。心から祝福もしてくれたし、何かあったら相談しろよと優しい言葉もかけてくれた。  大池は純粋に信崎を良い人だと思っていたのに、結局は面白がっている事に気が付いて自分の中での信崎の評価が下がる。  誤解を解くのは早い方が良いだろう。  得意先に一件行った後、昼休憩も兼ねて江藤の喫茶店へと寄ろうと頭の中で予定を立てた。  得意先への挨拶を終えてその帰り道。  江藤の傍で美味しい珈琲を飲みながら休憩することを楽しみに喫茶店へと向かえば、窓際にいる女子高生の二人組が目に入る。  喫茶店の近くには会社はあるが学校は無い。それに少し行ったところにファーストフード店やファミレスがあり、学生や主婦は大抵はそちらへと行く。  落ち着いた場所でお茶をしたいというサラリーマンは江藤の店へと足を運ぶ。  それ故に珍しいなと思って見ていたら、彼女たちはとても目を惹く容姿をしていた。  そこに飲み物を運んできた江藤が目に入り、その表情がやけにデレっとしているように見えた。  江藤だって男なのだから、可愛い子や美人を目の前にしてそうなってしまうのは仕方がない事だ。  もやもやとする胸を掴むように抑えつけ、大池はここから逃げ出すように会社へと足早に戻っていった。

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