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喫茶店のオーナーと甘党の彼_11
大池にヤキモチを妬いてもらえるなんて思わなかった。
嬉しくてつい顔がにやけてしまうのはしょうがないと思う。
「先輩、やけに嬉しそうですね」
落ち着きを取り戻した大池がじとっと江藤を見る。
「そりゃ、ね。大池がヤキモチを妬いたお祝いに赤飯を炊きたい気分だよ」
なんて事をいったら、大池が嫌そうな顔を浮かべた。
「赤飯は好きですが、そんなお祝いはいりません!!」
「はいはい、わかりましたよ」
江藤はメロンパンを手に取って大池の口元に押し付ければ、それをひと齧りした大池の表情がみるみるうちに蕩けだす。
「んっ、美味しいです!」
二口、三口と夢中でパンを食べ始める大池に、
「当たり前だろ。お前の為に作ったんだから。言っておくけどあいつ等の方がオマケなんだからな」
ピシッとそのおでこを指ではじけば、半分くらいになったパンを両手で持ちながら「すみません」と項垂れる。
大池がやきもちを妬いていた相手は江藤の妹と友達だと言う事を伝えて誤解がとけた後だからだ。
もう気にするなと指ではじいた箇所を撫でてやれば、大池がそろっと顔を上げた。
「江藤先輩」
まるで怒られたワンコのよう。耳と尻尾があったら間違いなく垂れ下がっている事だろう。
このまま抱きしめて甘やかしたいと、そんな思いに囚われ。
「なぁ、泊まっていかないか」
パンを手にする大池の手を撫でながら誘うようにそう言えば、その意味を悟ったようで顔を赤く染めてぎこちなく頷く。
「じゃぁ、パン食ったら一緒に風呂に入ろう?」
と食べかけのパンを江藤は自分の口へと運び、さらにその残りを大池の口元に運ぶ。
ごくんと喉が鳴るのはパンを飲み込んだからなのか、はたまた江藤の誘いに生唾を飲み込んだのか。
バスルームのシャワーの音と共に聞こえるのは江藤の甘い声だ。
「ん、もう俺はいいからっ」
泡のついた大池の手のひらが体を滑り刺激を与えていく。
背中から腕を回して大池の体を洗っていた筈なのに、いつの間にか自分が洗われていた。
それも胸と下は特に丁寧に洗われて、感じない訳がない。
「だめです。下なんてこんなに濡らして。もっときれいにしましょうね」
予想外だった。
大池の表情が豊かになるのも饒舌になるのも、そしてエロくなる事も。
「俺のも濡れちゃったから一緒に洗っていいですか?」
ボディソープを垂らされて泡立てはじめる。
「ん、あぁぁっ」
「えとうせんぱい」
甘えるように名前を呼び、蕩けそうな顔をしながら互いのモノを擦り合わせて欲を放ちあった。
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