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恋をする甘党の彼_11
真野を腕の中に抱き寄せる。
「朝からサカっちまったな。体、辛くないか?」
「大丈夫です。多少つらいですけど、今は貴方と一つになれたことが嬉しいので」
平気ですと真野が信崎の胸に頬を摺り寄せてくる。
「俺も、お前が可愛すぎてどうにかなりそうだよ」
そう耳元で囁いて口づけを落とせば、どうやら照れているようで顔をぐりぐりと押し付けはじめる。
「わぁー、わぁー、なんかすごく照れくさいんですけど」
「どれどれ、照れている顔を見せてごらん」
と顔を近づければ、見ないでとばかりに手で視界をふさごうとするので、その手を掴んで封じると軽く口づけを落とす。
「ふふ」
そんな甘いやり取りに、嬉しそうにする真野がすごく可愛い。
「さて、真野、一緒にでも風呂入ろうぜ」
後ろを洗ってやるよと真野の中に注ぎ込んだ蜜で濡れる尻を撫でる。
「もう、信崎さんの助平」
なんていいながら、満更でもない表情を浮かべている。
(そういう所もたまらないけどな)
可愛い恋人にもう一度口づけをしてベッドから起きあがると、運んでとばかりに手を広げてくる。
その身を抱き上げてお姫様抱っこをすると、真野が嬉しそう笑った。
※※※
ニヤニヤとする江藤の姿に、信崎は居心地の悪さを感じていた。
恋人同士になった事は真野から既に聞いたらしく、自分が来るのを待っていたという。
「いやぁ、信崎がまさかねぇ」
女の子大好きだったのにねぇと、からかうように言い手で口元を押さえる。
「うるさいよ、江藤」
紙のおしぼりを投げつけると、乱暴だなぁと言いつつ江藤はそれをキャッチしてごみ箱へと捨てる。
いれたての珈琲を信崎にだし、ふ、と、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「俺ね、真野君の事大好きだからさ、うまくいってくれて良かったなって」
あ、信崎の事も好きだよと、ついでのように言われる。
「高校からの付き合いだっていうのに、なんか悲しいぞ」
「あはは。でも、本当、嬉しいよ」
心から祝福してくれているのが解る。だから信崎の心がほっこりと暖かくなるのだ。
「ありがとうな、江藤」
「てことで、今度は四人で飲もうね」
「あぁ」
約束だからねと、指切りのポーズをする。
それに解ったと応え、珈琲の入ったカップを持ち上げて口へと運んだ。
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