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恋をする甘党の彼_12 *

【年下の彼は甘い夜もお好き】  江藤と大池には自分達が付き合う事になった事は話してはあるが、改めて二人そろって報告をしにいこうかと、言いだしたのは信崎で。  色々と心配をかけてしまった二人にはきちんとお礼を言いたかったのでその誘いを受けた。  すると江藤がお祝いをさせてと言ってくれて。四人で食事を一緒にすることになった。  だが、信崎に急な仕事が舞い込んで、何時に帰れるかわからないから先に行っていてくれと言われ、真野は大池と共に江藤の家へと向かう事になった。  江藤の元にも連絡があったらしく、自分を待たずに先に食事をしていて欲しいということだった。 「残念だけど、先にはじめていよう」  気を使うように江藤が真野の背中をポンとたたく。  一緒に報告と食事をしたかったが、仕事だから仕方がない。 「はい。江藤さんの作ってくれたご飯、楽しみだなぁ」  大池が買ってくれたワインと、江藤が作ってくれた料理は美味しく。惚気話をしながらつい酒が進んでしまった。  あぁ、またやってしまった。  意識をなくすくらいに酒を飲んで、そのまま寝てしまったようだ。  起きあがろうとしてアレっと首を傾げる。  誰かの腕が腰をがっちりと抱きかかえていて、すぐ傍で眠る存在に気が付く。 「え、信崎さん、なんで? 起こしてくれたらよかったのに」  眠る彼の髪を撫でながら、ふっと口元を綻ばす。  一度寝てしまうとなかなか起きない信崎の髪を、こうして撫でたのはつい最近の事。しかも彼の部屋のベッドの中でだ。  幸せだなとその寝顔を眺めていたら、 『ん、せんぱい、もっと』 『くっ、こら、ちょっとは休ませ……、あぁっ、ん』  奥の部屋から、色気を含んだ声が聞こえてくる。  なんとも居たたまれない。  真野は顔を真っ赤にしてどうしようとそわそわし始める。 『駄目って言いながらしめつけて俺のを抜かせてくれないのはせんぱいですよ?』 『だって、おまえが、俺の弱い所を突くからぁっ』 『ここをこうすると、江藤先輩が俺をもっと欲しがってくれるんですもの。……ね、キモチイイでしょう?』 『や、あ、あぁぁ』  色気を含んだ二人の声にあてられて体が熱くてたまらない。  後ろには恋人の温もりがあり、耳に息がかかるたびにビクッと身体が震えてしまう。  トイレに行きたくても信崎の腕は解けず、うずくまって耳を押さえる事しかできない。  すぐ傍に恋人がいるのに、自分ですることも出来ずに我慢するしかなくて。  寂しくて唇が震え、涙が込み上げてきて声を詰まらせる。

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