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「大丈夫、一緒にお茶をする程度だから。それか手を握るか膝枕か、耳掻きくらいだから」 ぜーんぶ微妙に嫌なんですけどー!! でも、俺は真面目そうなおじさんの話を信じて、その部屋にいたチビデブ大金持ちおっさんと泣く泣く一緒に過ごすことに。 言われたこと、ぜーんぶ、やりましたよ。 そしたらさぁ。 「……なんだかいつもの佐藤チャンじゃない」 「えっ?」 「いつもより、なんだか……えっちでかわいいねぇ……はぁはぁ」 いやだぁぁぁぁぁ。 もうお金いりません、佐藤の替え玉やっぱ二度とゴメンです、むりむりむりでーーーす!!!! 「エヘヘ、じゃあ、今日はこの辺で、う、わぁぁあ!?」 ソファでチビデブ大金持ちに押し倒された。 必死で押し退けようとしてもデブだから重たくってぜんっぜん動かないんだよ! うける! いやいや、うけねぇ!! 俺やばいよ、やばいよー!! 「あわわわわわ、ちょ、むり、ほんとむり、すみませんごめんなさい!」 チビデブ大金持ちは俺の言葉に聞く耳持たず、はぁはぁ言いながら体をぺたぺた触ってくる。 うう、ごめんなさい、正直吐きそうです! そのときだった。 部屋のチャイムがお上品にポーーーンと鳴ったのは。 「ルームサービスです」 「……はぁはぁ、タイミング悪いなぁ、はぁはぁ、じゃあ、佐藤チャン、はぁはぁ、大人しく待っててね?」 はぁはぁ言いすぎだって、もうやだ、家に帰りたい、帰ってマンガ読んで飯食って風呂入って寝たい。 「でもちょっと心配だなぁ、悪戯しないよう、これつけようね」 「あっ」 がっしゃん チビデブに手錠つけられた。 こいつ確信犯じゃん、最低最悪です。 で、金でつられた俺、一番バカ―― 「よぉ、佐藤」 ソファで放心していた俺にかけられた声。 怖くて不安で泣きそうになっていた俺は何度も瞬きした。 ルームサービスを出迎えに行ったチビデブの代わりにソファへ戻ってきたのは。 狐面をつけた正装ウェイターだった。 この声って、もしかして、もしかしてだけど。 「お、お、緒方さん……?」

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