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 このまま悩んでいても、いらない疑いばかり抱いてしまいそうだ。似ていない部分を探そうと思ったけれど、その作戦はどうやら上手くいっていないらしいし。  結局陸斗(りくと)は悩むのをやめて、 「ねぇ、海里(かいり)。この子供って、海里の子?」 「お前何聞いてんだよ!?」  本人へストレートに疑問をぶつけた結果、上擦った声で叫ばれた。先ほどまで子供に話しかけていた、やさしい声音とはまるで違う。  冷静で、やさしい海里がこんな風に叫ぶのを、深い付き合いの陸斗はよく知っていた。オレしか知らない姿だと普段であれば嬉しくなるけれど、今に限っては少し複雑でもある。  それに、ほとんど反射的に叫んだ様子に見えて、咄嗟に子供の耳元で叫ぶのは避けてるし、今はもう、目線は子供に向いている。どこか慌てて、「悪い、びっくりさせちまったな」なんて謝っていた。   やっぱり、海里はこの子供に心当たりがあるんじゃないの?  恋人である筈の自分が、結構な問題発言をしたにも拘わらず、海里の関心はもう子供に向いている。  自分の子供であればまだしも、見ず知らずの子供を恋人より優先できるだろうか。陸斗の答えは「否」。  海里以上に優先するものなどある筈がないし、見ず知らずの子供なんて正直陸斗にとってはどうでも良い。

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