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 心底からの呆れ、というのではなくて、折れてくれた証拠だというのは、分かった。  普段であればそれだけで、陸斗(りくと)の頬は簡単に緩んでしまう。我ながら単純だと思わないでもないけれど、今回は内容が内容だ。  突然現れた子供。やけに冷静な海里(かいり)。もしかしたら海里の子かもしれない。  そんなんだから、素直には喜べない。  海里がなにを言っても良いように、覚悟は決めておかないと。とは言っても、もし海里がさっきから疑ってるように、誰かに押し切られたり泣き付かれたりして、夜を過ごしたって言うんなら。  相手を、女であっても何をしてしまうかなんて分からないし、今より海里に対する束縛も強くなりそうだ。  ……万が一に海里の意思で、海里が寝た結果の子供だったりしたら、どうしようか。  冷静さを失っていても自覚できるほどの、どす黒い感情が芽生えかけていたところで、 「オレの子じゃねぇよ」  まるで陸斗の内心を嘲笑うかのように、海里の答えは単純だった。

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