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多分、と言うか確実に、並みの人間だったら、ここまで疑われれば気分を悪くして怒っても不思議はない。ここで海里 に怒鳴られたって陸斗 は文句を言えないだろう。
けれど海里がしたのはと言えば、怒るではなく、どこかからかうように、いたずらを企む子供のように、ふわっと笑ってみせるだけ。
「お前の中でオレは、そんなに貞操観念とか緩い子なの?」
「違うっす! 海里はやさしいから。押しに弱いから。だから心配なんすよ」
違う。不貞を疑っているんじゃない。
海里の浮気を疑っているのだと思われたくはなくて、ぶんぶんと、必死で激しく首を振る。
いや、正確に言えば疑っていることになってしまうのかもしれないけれど、よりにもよって海里にそこが正しく伝わらないのは、陸斗としてはなんとしても避けたい。
海里と陸斗の会話に口を挟むでもなく、ずっと不思議そうに見つめているだけだった少年は、何を思ったか、陸斗の真似をして、ぶんぶんと首を振り出した。
その突然の行動にきょとんとする陸斗に対し、海里はぷっと吹き出す。海里が浮かべた微笑みはやわらかくて、どこか幸せそうにも見えた。
「お前等、そっくり」
「そっくり?」
「オレの子じゃねぇっすからね!?」
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