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わざと派手に音を立ててドアを閉めて、自分の部屋に戻った。諦めたのか、どうでもよくなったのか。こんな子供じみた些細な反抗を、陸斗 が始めたばかりの時は海里 も応えてくれた。
陸斗が不機嫌だからと、なだめてくれたワケではないし、「ドアが壊れる」「空斗 に悪影響だろ」「びっくりした……」なんて言った、不満や注意、空斗を優先するものばかりだったけど、反応はしてくれた。
いつからだろう。
陸斗があえて大きな音を立てて閉めた扉に、海里がなにも言わなくなったのは。
諦めた?呆れられた?陸斗なんてどうでも良くなった?
そんな不安が胸の内に湧いてきて、いてもたってもいられなくて。そわそわ、ぞわぞわして。
やり場のない不安と不満をこめて、ベッドの上に置いてある枕を、扉に向けて思いきり投げ付けた。
それなりの力で投げたから、やわらかい物とはいえ、結構大きな音が響いた。多分、リビングで空斗の面倒を見ながら食事中の海里にも届いていただろうに。
陸斗をなぐさめに来ることはもちろん、「うるさい」と怒りに来ることもなくて。
陸斗はそのまま、ベッドに身を倒した。不満を訴えるように嫌な軋み方をした気がするけど、そんなものは無視だ。
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