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 そもそも本来なら、このベッドで寝ることだって、そんなになかったというのに。  恋人同士の2人暮らしというだけあって、それぞれ自分の部屋を構えてはいても、一緒にいることが多いから、あまり意味を成していなかった。  ベッドだって奮発して新しく買った、寝室のダブルベッドをメインに使っていて、自分の部屋のベッドはほとんど飾りだったっていうのに。  空斗(そらと)が来てから陸斗(りくと)は、ずっとこのベッドで寝ている。  空斗を1人で眠らせるのは心配だからと、海里(かいり)は言った。  海里は最初、川の字で眠ることを提案してきた。布団を敷いてそれだけのスペースは、空斗が小さいのと、海里が細身なのとで余裕があったし、ダブルベッドも十分大きいから男子大生2人と子供1人なら十分眠れる。 「寝る時までガキのおもりなんて勘弁っす。ね? 夜くらい2人きりで寝よう?」 「……まだ空斗は小さいし、一応人様の子供を預かってるんだ。目を離したりなんてできないだろ」 「別にベッドは落ちてもケガする高さじゃねぇし、寝ている間にケガしたとしたら、それは寝相が悪いコイツの自業自得っすよ」 「いいよ。陸斗も疲れてるだろうから、ゆっくり休んでくれ。オレが空斗と一緒に寝るから」  思い出して、苛立った。  ぬくもりなんてなにも感じない、からっぽの自分のベッドを、殴りつける。ぼふっ、と鳴った間抜けな音は、ここ最近ガサツに扱われているベッドの不満か、陸斗の抗議の表れか。

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