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「陸斗 も疲れてるだろうし、子供と一緒にいるのが不慣れなのはお互い様だもんな。いいよ、オレが空斗 を見てる」
海里 はいつもみたくやさしく言ったけれど、そこに言葉通り以外の意味を、嫌でも感じてしまった。
言葉自体は陸斗を労わっているけれど、表情にどこか、諦めたような色がある。呆れているような、そんな顔は、今まで1度だって陸斗に向けたことがない顔。
そこで、海里の内心に気が付くべきだったかもしれない。
冷静になれば海里が、空斗への接し方について物申したかったんだと分かる。陸斗がちっとも空斗に歩み寄らないどころか、邪魔もの扱いしていることを怒ってるのだと。
今なら分かってる。分かっていても、心がそれを良しとしない。
もしかしたらあの時でさえ、陸斗は分かっていた。分かっていても、やっぱり心が受け入れはしなかったのだ。
だって、オレは恋人なのに。オレが恋人なのに。どこの誰かも分からない、ガキのせいで、海里との時間が潰れてしまうなんて。
「え、待ってって。それじゃ、海里と一緒に寝られないじゃないっすか!!」
「だから3人で一緒に寝よう、って言ったけど、却下したのはお前だろ?」
「それに、アイツがいたら、海里とイチャイチャもできないよ? 寝るって言っても、オレ達ガキじゃないんだし、それだけじゃないじゃん」
陸斗としては至極当然の不満だった。ただでさえ海里との時間が奪われているのに、って。
海里だって恥ずかしがりやではあるけれど、そういうの、決して嫌ってはいないし、まだまだ2人だって恋人と一緒にいれば、“そーいうコト”になるオトシゴロなのに。
「いや、空斗がいるのに、そんなこともできないだろ。教育に悪いにも程がある」
空斗が玄関前に現れてから、どん底に落とされたと思っていたのに。
海里の言葉は、陸斗を更に突き落とした。
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