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幸せになりたいし、
「んー! やっぱ柚陽 のメシは最高に美味いっすねぇ!」
「りっくんに喜んでもらえるのが、1番嬉しいよ」
えへへ。柚陽が可愛らしく笑う。その笑顔に、陸斗 の胸は簡単に高鳴った。心臓がうるさいって、今みたいな事を言うのだ。柚陽に聞かれてないっすかね?心配になる。
もしも柚陽に聞かれていたら格好悪いし、「どこか悪いの!?」と必要以上に心配を掛けてしまいそうだ。
柚陽に心配してもらえるのは嬉しいけど、むやみに心配させたいワケでもないし。不安そうに眉を垂れ下げて、大きな目を揺らしているトコよりは、花の咲いた笑顔で、目をキラキラさせているトコが見たい。
これが何という感情なのか、陸斗は知ってる。柚陽から最初にもらった感情じゃないというのが、随分とシャクだけど。
でも、柚陽が許してくれるなら、その分、柚陽に気持ちを注げば良い。過去の事なんて笑い飛ばしてしまえるくらいに、柚陽とイチャイチャすれば良いんだ。
柚陽が辛い時には、もちろん、陸斗が支えて。柚陽の辛い過去には、もちろん、一緒に向き合って。
それが、恋なんだろう。
「ねぇ、柚陽」
改めて切り出して、陸斗は思わず苦笑する。
柚陽には言葉にしないと伝わらないだろうし、言葉にするのは大切だ。でも、それにしたって、順番が少しあべこべになってる。
絡めた指の温度。イチゴプリンのせいで、妙に甘ったるかったお互いの舌。それを知った後で、
「好きだよ。オレ、柚陽の事が好きっす」
こんな風に、「好き」の2文字を伝えるんだから。
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