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「あー……」
少し気だるさを感じながら、陸斗 は目を覚ます。腕の中の柚陽 はと言えば、ぐっすり眠っている。布団をすっぽり被せたから肌が露わになっている個所は少ないけれど、そんな中でも赤いアトははっきりと見えた。それも、数えるのが面倒になるくらい。
久し振りとはいえ、だるさを感じる事に情けなさを抱きながら。柚陽に無理をさせていないだろうかと心配になりながら。
それでも、この気だるささえ幸せだと思いつつ、陸斗は腕の中の柚陽をそっと抱きしめた。
もちろん、起こしてしまわない様に、腰に負担を掛けない様に、最新の注意は払って。
柚陽のぬくもりに、お揃いのシャンプーの匂いに、朝っぱらから熱は下に移動を始めそうで、我ながら情けないと苦笑を浮かべてしまうけど。
でも、こんな朝は、陸斗にとって本当に幸せだった。体を重ねられたからなんていう、単純な物じゃなくて。もちろん、それが無いと言ったら嘘だけど、好きな人とこんな穏やかな朝を迎えられるというのは、陸斗が恋を知ってからすぐに知った、幸せの1つだ。
マズい飯を無理に押し込んで。
うるさいガキに耐えて。
しまいには、ベッドを追われて。
そんな、地獄の様な日々から助け出してくれたのが、柚陽だった。柚陽はこうして陸斗に幸せをくれている。
幸せでいたいだけという陸斗の願いを叶えてくれている。
人間と言うのは欲深いもので、今や陸斗の中でその願いは姿を変えていた。
幸せになりたい。幸せでいたい。
そして、柚陽を幸せにしたい、と。
「んー、りっくん?」
目を覚まして、少し照れくさそうに微笑む柚陽に、陸斗も微笑む。多分、頬は少し赤い。
「そうっす。柚陽の陸斗っすよー。おはよう、柚陽。大好きっす」
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