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恋人について
教室に海里 の姿はなかった。安堵なのかイライラなのか、よく分からない気持ちになりながら、陸斗 は適当な席に腰を下ろす。
一応恋人という立場だったから、別れを告げるのが筋かな?とも思ったのだ。
まあ、向こうは陸斗を遊びとしか思っていないらしいし、「別れようか」なんて言ったら「別に付き合ってなかったけど?」くらいは返されそう。
それに同棲していたから、こっちの荷物とか、家具とかもあるし。まあ、前の、一応は恋人の家にあった物なんて、何1つ柚陽 との新居に持って行きたくないけど。処分を業者に頼むにしても、海里に頼むにしても、そこは海里に話しておかなければならないっていうのが、面倒なところだ。
つーか浮気の慰謝料代わりにアイツが業者手配して、費用を払っても良いと思うし、まだまだ足りないと思うんすけど。
善は急げと言うし、柚陽との幸せな生活を始めるのに、いつまでも過去のムカつくヤツを引きずっていたくなかった。だから早々と清算したかったんだけど。
授業をサボった事のない真面目クンが、なんで今日に限っていないんすか?オレへのあてつけ?
ただでさえ今日は、柚陽と授業が被らなくてイライラしてるのに。
そう思って、陸斗は、やっと思い出した。陸斗と海里の時間割が1コマも被らない日が存在した事を。
ムカつきから海里を脳内から押し出して。
柚陽との幸せに浸りきっていたから、すっかりそんなこと忘れていた。
もちろん、わざわざ海里に会いに行こうとは思わない。
「じゃあ明日以降になりそうっすねぇ……」
1人、ぼやいた。イライラする。
とはいえ案外自分は単純な性格をしているらしい、と陸斗は思った。それとも、イライラなんて簡単に吹き飛ばせるくらい、海里は凄いのか。
授業頑張ろうね! 今日の晩ご飯は、がっつりお肉のハンバーグだよ。ソースは辛口!
柚陽のメール1つで、こんなにも幸せになるんだから。
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