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「いやいや、じゃあ、あのマッズイ料理は? 吐き気のする様な料理ばっか作って」
「本当に、吐き気のする味だった? 本当に、マズかった?」
海里 に同情なんてしちゃいけないと、勢い込んで波流希 に訴えた。でも、海里の味方である波流希が、海里に不都合な事なんて言うワケもない。なんで失念してたんだろう。波流希に「本当に」を強調する形で訊ね返されてから後悔したけど、もう遅い。
本当にマズかったか。当たり前だ。マズかった。お子様ランチを出されている様な気分で、陸斗の求めてるガッツリしたハンバーグや、辛味のあるソースとは、正反対で。
そもそも、ソレに関しては、空斗 が来る前からだった。
そりゃあ、空斗が来る前はリクエストを聞いてくれた事があった。でもほとんど聞いてくれない事が多かった。陸斗が激辛を望んでも、辛さは希望の何倍も薄まっていたり。ひたすら肉を食べたかったのに、肉と野菜の比率が希望通りじゃなかったり。
海里への不満を思い出して、憎しみを増そうとする陸斗に、けれど波流希は畳みかける。
やっぱり、穏やかに微笑んだまま。男女どっちにもウケる表情で。
「……まあ、子供向けの味って、大人になるとマズイって思う時はあるからね。そのへんは個人の味覚だから、あんまりツッコまないよ。ただ、海里が空斗に合わせた料理を作る理由は、なんとなく察せないかな?」
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