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聞いた後で、陸斗 は、はっとした。
オレは何を聞いてるんすか。後悔しても遅い。あのガキの事を柚陽 に話はしたけど、柚陽はどんなガキか詳しくは知らないワケだし。それに、襲われたばっかの人間に、そんな話をするなんて、最低だ。無神経にも程がある。
今更遅いけど、「ごめん、なんでもないっす。忘れて」そんな風に謝って、多少身勝手ではあるけど、忘れて欲しいと頼もうとして。
開いた、陸斗の口は。
あははっ。甲高い、とでも言う様な、耳にささる笑い声に遮られた。
あはは。きゃははっ。小さな子供が、はしゃいでいる様な声。でもここに、そんな小さな子供は居なくて。
子供っぽい声で、無邪気な笑顔で、柚陽が、その童顔に無邪気な笑顔を浮かべてた。
「ゆず、ひ……?」
謝るのも忘れて、震えた声で名前を呼ぶ。
なんで、なんで笑ってるんすか。そりゃあ、もちろん、柚陽が笑ってくれるのは良い事だけど。大好きな柚陽の笑顔は見たいけど。
陸斗は混乱する。だって、このタイミングで笑うなんて、おかしい。違う、おかしくない。本当に幼い子供が浮かべるような、無邪気な笑顔を、陸斗は見た事がある。目に入った瞬間、吐き気がした。空斗 が海里 の料理に、はしゃいだ時と同じ。
ドラマを見ていてガキの笑顔が目に入った時もムカついたけど、さすがに吐き気まではしなかった。柚陽が普段浮かべる笑顔だって、そんな事はなかったのに。
まるで、空斗によく似た、
「あーあ! りっくん、気付いちゃったんだねぇ。もっとぐちゃぐちゃになるまで、知らないフリをしてたかったんだけど。でも、もう良いかな? だって、多分、直すのは難しそうだし」
まるで、柚陽によく似た。
「りっくんの家に押しかけた子供はね、オレの子供だよ」
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