fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
それで崩れていくんすかね? 4 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
4
作者:
夜煎炉
ビューワー設定
91 / 538
4
柚陽
(
ゆずひ
)
は、その時の事を思い出してるのか、「とろけちゃうくらい」と言いながら、本当に目がとろんとしてる。熱を宿してうっとりした眼差しは、この場に酷く不似合いで、いつ
港
(
みなと
)
や
波流希
(
はるき
)
が「ふざけてるのか」と怒り出しても不思議はないだろう。 でも、
陸斗
(
りくと
)
に火をつけるには十分すぎた。ただ、ちょっとだけ怒ってもいる、けど。それは、もちろん、騙されていた事についてではない。 「柚陽。そう言ってもらえるのは光栄だし、柚陽のナカは最高だったっすけど、そんなえっちな顔、こんなトコで見せちゃダメっすよ。ゴミクズに心酔してるコイツ等ならともかく、ここにはド淫乱のゴミクズ以下がいるんすから。それに、そーいう顔はオレが独り占めしたいんす。ね? オレだけの前でとろとろの、どろどろになって?」 するっと、柚陽の髪を指に絡ませつつ、耳を撫でれば、柚陽の体はぴくっと跳ねた。陸斗の言葉を聞いていないのか、あえて嫉妬心を煽ってるのか、「やんっ、りっくん、てばぁ」なんてあげられた声は、いつも以上に無駄に色気を出している。わざとらしいほどだけど、やっぱり柚陽の口から発せられたとなると、下半身に熱は集まってしまうもので。 「もう。煽るのが上手っすね? オレ、ちょっと怒ってるんすよ。そんな、とろけてる時と同じ様な顔、こんな大勢の前で見せて」 そう。陸斗の怒りはそこだけだった。 一応は騙されていたはずなのに、それも自分を手に入れるためだとなれば、他ならぬ柚陽から言ってもらえたのだとしたら、幸せ以外の何を感じろというのだろう。 柚陽の頬は赤く染まって、「もう!」なんて呟いて、陸斗の胸元に顔を埋めた。そんな仕草が可愛い。 柚陽の、
空斗
(
そらと
)
によく似た笑顔を見た時に感じた不快感も、理由を聞いてしまえば、もう、陸斗の中にはない。 「じゃあ、一緒に帰ろう? オレのこと、いっぱぁい、どろどろにしてね?」
海里
(
かいり
)
の前で告げられた言葉にも、もちろん、肯定以外の返事なんて持ち合わせていなかった。
前へ
91 / 538
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
夜煎炉
ログイン
しおり一覧