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「……そーいや、あのガキ、どーするんすか?」
「もうっ! りっくん? ピロートークでそんな話するの、色気ないよ?」
めっ!と、額をつつかれて、叱られた。でも確かに柚陽 の言う通りだ。話すにしてもタイミングってもんがあったと思う。陸斗 は反省する。
ただ、このタイミングだからこそ浮かんでしまった、っていうのも、なくはない、ワケで。
なんせ、こちとらガキがトラウマなんだ。
柚陽に限ってそれはないと思っていても、やっぱり身構えてしまうし、「子供は、手元に戻そうと思うんだ」なんて言われたら少し困る。それで、また、マズいメシを食わされるのも、「子供がいるから、めっ! だよ?」なんて言われて、体を重ねられないのだってごめんだ。
だからこそ、このタイミングで気になったんだけど。
でも、柚陽の言い分も一理あると思ったから、陸斗はそれ以上言わずに、じゃあ恋人らしいピロートークでも、なんて思ったものの、
「りっくんは子供、ほしいの?」
柚陽によって遮られた。陸斗の内心を読み取ったのか、それとも男同士だから“ソーイウの”を気にしてしまうのか。はたまた、一応半分は自分の血が流れているらしいから、気になるのか。
どれであっても陸斗の答えは1つ。「とんでもない」。ガキなんて欲しくない。絶対に。
そんな意思を持って、ぶんぶんと首を横に振る。多少子供っぽいかもしれないけど、それだけ必死だった。
うるさくて、邪魔で、気持ち悪い。そんな存在に、自分と柚陽の間を阻まれるなんて、ごめんだ。
そんな陸斗の反応に、柚陽は、少しほっとしたように見えた。
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