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「良かったぁ。オレもあんまり子供って好きじゃないんだ。うるさいし、言う事聞いてくんないし、世話するのも大変だし」  女から押し付けられたと言っていたけど、その間の事を思い出してしまったんだろう。柚陽(ゆずひ)の目には、さっきまでの行為によるものとは違う疲れが、ちらっと浮かんだ。  押し付けた女は悪だし、柚陽をこんなに疲弊させるガキも決して許せない。そりゃあ、あのオレをあのゴミクズから引き離してくれた事や、柚陽と結ばれた事については、すこーしだけ、感謝してるっすけどね?  柚陽の答えに陸斗(りくと)は安堵した。  だって、いくら感謝してたって、やっぱり子供は嫌いだ。  でも、柚陽は好きだから。  どこのアバズレとの子供か分かんないし、そのアバズレは許したくないけど、半分は柚陽の血が入ってる。柚陽が「引き取りたい」って言うなら、頑張って愛して……は見れなくても、少しくらい面倒見る事を挑戦しようと、ちらっと覚悟していた。  とは言え、考えるだけで気が重かったけど。  でも、柚陽がそう言うなら、引き取るって言いだす事もないだろう。安心だ。 「でも、りっくんが子供欲しいなら、あの女との子供で申し訳ないけど、ちょーっとだけ頑張ろう! って思ってたんだ。やっぱり、子供なんていらないよね。りっくんと2人でラブラブできれば、オレは幸せかなー」 「じゃあ、もう1回、イチャイチャしよっか?」  ふにゃ。そんな風にやわらかく笑って言われれば、さっき吐き出した熱が嘘みたいに戻ってくる。  腕の中の柚陽を、ソーイウ意図を持って擽れば、甘い声1つ。そのあと、柚陽の手が誘う様に陸斗の頬を包んだ。頬に触れる柚陽の手も、熱い。 「うん! いっぱい、いっぱい、シようね」

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