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それで崩れていくんすかね? 12 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
12
作者:
夜煎炉
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12
陸斗
(
りくと
)
の言葉に、
柚陽
(
ゆずひ
)
の手は、更にぎゅっと、強く握られた。でも、そうしていても隠しきれないくらいに震えている。大きな両目からは、今にも涙がこぼれてしまいそうだ。それを堪える様に、柚陽がぎゅっと唇を噛んだ。 なにか躊躇って。それでも覚悟を決めたというように、柚陽の顔が上げられる。 大きな両目は、相変わらずウルウル泣きそうに震えてるけど、今はまっすぐに陸斗を見つめている。 「オレ、りっくんと
海里
(
かいり
)
くんの邪魔をしたんだよ? 自分がりっくんと付き合いたいばっかりに、りっくんと海里くんの関係を、壊したくて、壊したんだよ?」 海里。 柚陽の口から出てきたその名前にはイラっとするけど、表情に出すのは何とか堪えた。だって、柚陽を怒ってるって思われたら嫌っすもん。 胸くそ悪いってヤツだったけど。吐きそうな程の憎悪に襲われたけど。いつか絶対してやると決めている復讐、その方法を思い浮かべる事で、どうにか苛立ちは治めた。 でも、あんなクズの事を心配するなんて。やっぱり柚陽はやさしいっすねぇ。 「これっぽっちも。まるっきり気にしてないっすよ」 「……え? で、でも、りっくんの生活環境を悪くしたのも、オレなんだよ?」 陸斗の言葉が予想外だったのか、柚陽は目を白黒させて、信じられない、と言わんばかりの表情だ。万が一にも有り得ないけれど、陸斗が「恨んでるっす」と言った方が、堪えきれずに涙を零したかもしれないけど、納得はしたんじゃないかと思ってしまう程の驚きっぷり。 そんな柚陽の、ふわふわの髪をやさしく撫でて、陸斗はもう1度伝える。 「気にしてないっすよ。……まあ、ガキのウザさや、吐きそうなメシしか出されない冷遇っぷりには、ちょっと参ったけど、それは柚陽がしたワケじゃねぇし。そのおかげでアレが最低最悪のゴミムシビッチだって分かったし、何より柚陽と結ばれる事が出来たんだから」 「で、でも、それは、オレがりっくんとラブラブになりたくて、そう仕組んだからだもん! オレが自分のワガママで動かなかったら、今頃りっくんは、ちゃんと海里くんと」 「あー、柚陽? それ以上は言わないでほしいっす。さすがのオレも、ちょっとムカッとするんで」 思わず苦笑を1つ。でも、内心は結構余裕がない。その続きは想像なんてしたくないし、柚陽の口から聞きたくもなかった。それを言われた日には、後先考えずに、海里の事を殺してしまいかねない。 柚陽が慌てて口を閉じたから、陸斗も苛立ちは懸命に振り払う。
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