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「柚陽 、言ってくれたよね? オレが大好きだから自分のにしたかった、って。オレはそう思ってくれて、ここまでしてくれた事、感謝してるんすよ。こんなに愛されてたんだなぁ、って、凄く嬉しいっす」
それが陸斗 の、嘘偽りない本音だ。
そりゃあ全部を知った時は、びっくりしたけど。動揺したけど。でも、それより何より嬉しかったのだ。
そう言えば、それを柚陽にはきちんと伝えていなかったと思い出す。素直で無邪気な柚陽の性格を思えば、不安に思わせても当然かもしれない。
これからは今まで以上に、きちんと伝えるようにしないと。そう考えながら、陸斗は柚陽の頭をやさしく撫でる。
「最初はちょっとびっくりしたけどね。でも、あの時も、今も、柚陽がそこまでしてくれたって嬉しさの方が、断然大きいんすよ。ありがと、柚陽。愛してるっす」
柚陽の目から、ぽろぽろと涙が落ちた。それが嬉し涙であるのは、うぬぼれでもなんでもなく、陸斗にも分かった。
りっくん、りっくん。泣きながら自分の名前を呼ぶ柚陽が、本当に愛おしい。
柚陽をそっと、でも、しっかりと抱きしめる。体温の高い柚陽の体。小柄ですっぽりと収まってしまう、その体を。確かめる様に、想いを伝える様に、しっかりと。
「ほんとに、オレは幸せ者っすねぇ。柚陽にここまで想ってもらって」
「りっくんにそう言ってもらえる、オレの方が幸せ者だよ!」
そんな風に言いあって。柚陽は少し目の端に涙を残したまま。2人で顔を見合わせて、微笑みあった。
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