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幸せになりました!
「りっくん、はい。あーん」
「あーん」
柚陽 が作ってくれた弁当を、柚陽に食べさせてもらう。あーん、っていうのは、多少くすぐったいけど、何より幸せだと陸斗 は思う。あんまベタベタするの好みじゃなかったけど、柚陽が相手となると違うっすねぇ。
ただでさえ美味しい柚陽の手料理が、尚更美味しく感じられた。
相変わらず、まだまだこっちを見てコソコソ話したり、睨みつけてきたりという人間は少なくないけれど、柚陽と幸せな時間を満喫している今、陸斗には全く気にならなかった。
元から他人を気にする方じゃなかったけど。
だから、人の目なんて気にしないで、へらっ、なんて緩み切った笑みを浮かべてる。
幸せボケしてる、とか言われても仕方ない。と言うか幸せなんだから、幸せを満喫して、幸せらしく、にこにこしてないと。
何より変に格好付けて、柚陽を不安にさせてしまうのは、陸斗にとっては避けたい事だ。陸斗としては、そこまでしてくれたの、嬉しさしかないのだけど、柚陽は結ばれる過程を少し負い目に感じてるみたいだから。
大丈夫だよ。幸せだよ。っていうのを、言葉でも態度でも、柚陽に伝えていかないと。それが、幸せにしてもらった柚陽への恩返しだと思っているし、大好きな柚陽に、当然する事だと思っている。
「うん! すっごい美味しいっす、柚陽」
「えへへー、りっくんに喜んでもらえるのが、1番嬉しいよ」
ぱあっ。花が咲いた様な笑顔を見せる柚陽が愛しくて、愛しくて。
大学のテラスだっていうのも気にしないで、陸斗は柚陽の頬にキスをした。
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