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「テッメェ、何してんだよ!?」
静かにしてる、っていうのを忘れたのか、もう関係ないのか。陸斗 の行動に港 が叫び、自分の体を陸斗の足と海里 の体の間に割り込ませる。
海里を蹴飛ばそうとか、腹のあたりを踏みつけてやろうとか考えていた足は、もちろん急には止まらない。そのまま港の体を蹴り上げる。多少鍛えているのか、ベッドを蹴った時に近い鈍い痛みを陸斗の足は訴えた。
ほんと、ムカツクっすねぇ!?でも、港も顔をしかめてるから、まあ、悪いだけの結果では無いだろう。
殴った方も痛いっていうのは、本当っすね。コイツ等に報復する時は、なんか武器が必要っす。
陸斗がぼんやりと考えている間に、いくら寝汚いといっても目を覚ますだけの騒ぎだったんだろう。「港!? どうしたんだよ? 大丈夫か?」なんて、不愉快極まる声が耳を差した。
「ん、大丈夫だよ。つーか、お前の方こそ平気か? 痛まねぇ?」
「ああ、大丈夫だ」
ああ、相変わらず“ぶって”るっすねぇ。
目の前で仲良しこよしを始めだした2人に陸斗の苛立ちは、更に増して、取り敢えず足が届く範囲にあった港の背中を蹴飛ばした。「う」という小さな声が漏れる。
「ねー、ねー。起きた? 起きたなら、そこ、出て行って欲しいんすけど」
「ああ、出てくよ。だけど、ちょっとだけ待ってくれねぇか? 港、少し背中が痛むみたいだし」
ぽんぽんと控えめに海里の手が港の背中を撫でている。大袈裟っすねぇ、オレの足の方が痛いんすけど。
その光景を見てると、余計にイライラしてくる。ああ、何でこの男は、こうもゴミクズに心酔しちゃったんすかねぇ。
「いや、オレが待ってる理由なんてないよね? 早く行ってくれねぇっすか?」
本当は触るのなんて心底不愉快だった。でも、こうしていても平行線だと覚悟を決めて、陸斗は海里の髪へと伸ばす。
けれどその手は、海里の髪を掴み上げる前に、弾かれた。
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