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医務室のベッドでスヤスヤと眠る柚陽 を、見つめる。
校内だから少しは加減をしたんだけど、やっぱり柚陽を前にして、そう簡単に自制できるワケもなくて。結構無理をさせてしまったかもしれない。無理をさせた、とまでは言わなくても、普段とそんなに変わらなかった、というか。
ごめんね。思いつつ、柚陽の頬をそっと撫でれば、甘えるように柚陽が陸斗 の手へと擦り寄った。あ、可愛い。きゅんとしたっす。
また手を出してしまいそうになるのを、必死で自制して、堪える。
さすがに学校でこの続きをシちゃうのはマズイからね。
でもやっぱり、自分の隣で安心しきってる恋人の姿を見て、何も感じないほど陸斗だって淡白じゃないから、頬にちゅっと、キスを1つ。
柚陽の、愛らしい寝顔が、ふにゃっと、ますます緩んだ気がして、陸斗の頬まで緩んだ。
幸せだ。
オレは今、間違いなく、1番の幸せ者だと思う。
幸せな時間の中、柚陽がくれた幸せを噛み締めながら、陸斗は医務室の扉を睨み付けた。あれから、あの忌々しい2人組は戻ってこなかったし、海里 が他の人間を連れ込む事も、波流希 が文句に来ることもなかった。
なかったけど、だからって安心できない。
いつ邪魔されるか分からないっていう、直接的な問題と。
陸斗の中で渦巻いている、憎悪と。
この2つをどうにかしないと、きっと、本当の幸せには、なれないから。
ふわふわとした柚陽の髪を撫でる。今度はさっきみたいな、恋人の戯れとしてではない。覚悟を持って。
「絶対に、柚陽がくれた幸せを、オレは守り抜くっすからね」
ぽつり。眠っている柚陽を起こしてしまわないよう、小さな声で呟いた。
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