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今日の時間割上、柚陽 は完全に大学が休み。家でゆっくりと休んでる、はず。
休んででほしいけど、「ご飯、頑張って作るから楽しみにしててね!」なんて花が咲いた様な笑顔で言って、ガッツポーズ1つ。嬉しくなって頬も緩んでしまうってものだ。
だから、その幸せを、より強く感じるために、陸斗としてはせめて、1人くらい。完全にとはいかなくても、成果を出しておきたくて。
あまり思い浮かべたくないけど、海里 の時間割を思い出す。そこまで細かく覚えてるワケじゃないけど、こういう風な休みの日っていう時間割は、そうそうなかった、はず。
だから大学内で会えないって事は、早々ないはずなんだけど。
仕方ない。言い訳を思い浮かべつつ、医務室の扉に手を掛けたところで。
「お前が海里に対してどう思ってるのか薄々察しがつくけど、そこに海里はいないからな」
「いやいや、ゴミクズ盲信者の話なんて信じられるっすか? でも、まあ、別にアレじゃなくても良いっす。アンタ等のどっちかでも、良かったんで」
「……ああ、オレにも文句がある、ってか?」
港 はなにか察したのか、呆れ半分、納得半分といった顔になる。つーか実感あるなら、多少は改善すりゃあ良いのに。
今、港はここに1人。波流希 はいないし、海里の姿もない上、医務室を開けるところで声を掛けられたってなると、そのへんは怪しいけど。
でも、100パーセントの確証がある人間を相手にした方が、きっと早い。少なくとも今、港なら目の前にいる。
「そうっすねー。ちょっと2人きりでお話はしたいっす」
陸斗が浮かべた満面の笑顔に、返ってきたのは舌打ち1つ。
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