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広い大学内には、意外と2人きりになれる場所っていうのがある。たとえば予約を取った自習室っていうのが確実だし、予約を取らなくても案外2人だけになれたりする。
予約を取ってない身で鍵をかけてしまうのは多少マナー違反かもしれないけど、部屋に入った後、陸斗 は鍵をしっかりと掛ける。誰かが入ってきて誤解されるのも嫌だし、港 を逃がすつもりはないし、波流希 を呼ばれるのも厄介だから。
鍵をかけるのは、「逃がすつもりはない」っていう宣言も兼ねてるから、コソコソかけるんじゃなく、堂々とかけた。
だから港の目にも入ったんだろう。港の顔が怒りで歪む。ほんと、コイツ等は意味が分からない。本当に怒りたいのは、散々不愉快な思いをさせられたオレだっていうのに。
「別に逃げも隠れもしないし、先輩に助けてもらおうとも思ってねぇよ。海里 をこんな危険なトコに飛び込ませるつもりなんて、もっとない」
「あんな最低ヤローの考えてる事なんて分からないし、分かりたくもないっす。そんなゴミに盲信してるアンタの言葉だって、アテになりゃしねぇ」
海里がわざわざ、“遊び相手の1人”に、気を掛けて危険に飛び込むとは思えないけど、港の盲信振りは凄い。いくら海里が凄まじいテクを持っていて、誰かを騙す事に長けていても、そこまでの盲信者を作り出すのは楽じゃないだろう。
そうなると、港のために飛び込んでくる可能性はゼロじゃない。
港と体の相性が凄まじく良くて、放したくないだけかもしれないけど、その場合でも、港が怪我をすれば、しばらく自分もオアズケになるワケで、少しは必死になるかもしれないし。
まあ、波流希の方は入れるつもりないっすけど、あのクズが来たら入れるっすよね。そりゃあ。
あくまで1番復讐をしたい、幸せのために消し去りたい相手は海里なのだから。
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