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「あ、れ……?」
違和感に思わず陸斗 は呟いた。押し付けた自身は、すんなりと呑み込まれるだろうと思っていた。なんせ、いつもセックスに耽る様な男。前も緩ければ、後ろも緩いだろうし、貪欲に呑み込むんだろうって。
だけど陸斗に伝えるのは、異物の侵入を徹底的に拒む、感覚。思い出したくもないけれど、まだ海里 に騙されていた時。ハジメテ、繋がった日の事。
大丈夫、大丈夫だよ、陸斗。なんて言いつつ、海里の後ろはとてもキツくて、指の1本さえねじ込むのが大変だった。行為は何度かして、その内少しは受け入れるまでの時間が早くなっていったけれど、まるでその、ハジメテの時を思い出す様な。
なんで?遊んでるんじゃないんすか。少しだけ動揺するけど、陸斗にとって、好都合と言えば好都合だ。受け入れる側の負担は大きいというし、満足に慣らさないと痛いとも言う。これは復讐だから、海里をキモチヨクする必要なんてない。
痛みを与えられるなら、そっちの方が遥かに良い。
というか、遊んでて、親も親。
処女の方が喜ぶだろうからって、自在にキツくする方法くらい身に着けていそうだ。
「力、抜いて欲しいっす。いや、抜かなくても良いけど、痛いのはアンタだからね?」
とは言っても、ねじ込んで痛いのは陸斗も同じだけど。
海里に魅力もなにも感じていないけど、復讐を燃料に、どうにかこうにか熱は集まってる。ケンカをしている時、命の危機に直面した時。自然熱が集まるっていう現象を利用するしかないだろう。
あ、裂けたんすかね。
一瞬そう思って、なんとなく、自分の認識とズレているのを感じるけれど、その違和感は更に一瞬。動きやすくなったのを良い事に、そのまま腰を打ち付けた。
陸斗の耳に届いたのは、色気も何もあったもんじゃないような、うめき声1つ。でも、それを気に掛けている様な余裕は、陸斗には一切なかったし、すぐに遊び人らしい、演技っぽくさえある甘い声に変わっていったから、先のうめき声が聞こえていたところで、やはり違和感なんて一瞬で消えたのだろうけれど。
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