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だけど、その幸せは家に着いた頃、少ししぼんだ。
柚陽 は今日大学が休みで家にいる。だから鍵を出す事なく玄関の扉に手を掛けたのだけれど、開けるのを阻む手ごたえが1つ。鍵がかかってるらしい。
柚陽が留守番している家に帰ってくるというのは、滅多にないけど、家にいる時も鍵を掛ける様なタイプじゃない。陸斗 としては少し心配だったりするけど、「りっくんが帰ってきた時、鍵を開けるのってなんか寂しいなって思って」なんて言ってくれれば、嬉しくなる。くれぐれも用心するように言ったし、「お昼寝をする時は鍵を掛けるんすよ」とも言ったけど。
もしかしたら昼寝をしているのかもしれない。行為の時、負担になるのはどうしても柚陽の方だし、料理も柚陽がしてくれている。
休みの日に疲れて眠ってしまっていても、不思議じゃない。
そう思って、起こさない様にそっと鍵を開け、扉を開いて、中に入ったけれど、人の気配がしない。
リビングにも、寝室にも、柚陽の部屋にも、柚陽はいなかった。置手紙のようなものもない。
どこかに行ったんだろうか。ケーキを見せて、喜ぶ顔が見たかったし、柚陽に幸せを勝ち取ったんだと伝えて、笑いあいたかったんすけど。
そんな寂しさから、陸斗の幸せは少しだけ、しぼんだ。
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