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ふう、なんて、少し気だるいため息を1つ。隣で眠る柚陽 を起こしてしまわない様に気をつけながら、ふわふわの髪をやさしく撫でた。
うっすらと滲んだ汗で、ほんの少し額にふわふわの前髪が貼りついている。行為の後を思わせる格好で、つい、ドキッとしてしまう。……いや、実際にさっきまでシてたんすけどね?
油断するとうっかり下の方に熱を集めてしまいそうだから、陸斗 は全力で自制する。陸斗としてはまだまだヤれるものの、柚陽に無理はさせたくない。
やっと、本当に、邪魔されずに幸せになれるというのは、2人をハイにするのに、十分だった。ケーキを食べて、食器の片付けをする柚陽を見つめて。
浴室でもさんざんイチャイチャして、ベッドに倒れ込むなり、陸斗は柚陽を組み敷いたし、柚陽は陸斗に腕を回した。それは、人によっては「獣じみてる」なんて言うのかもしれないけど。
行為自体は獣の様にただ求め合うだけじゃなくて、2人の本当のスタートを分かち合う様に、いろんな言葉を交わした。「好き」「愛してる」なんて、言葉自体は単純だったけれど、陸斗にとっては何よりも伝えたい言葉だったし、柚陽から囁かれるのも、嬉しくて。
なんだかんだと、長い時間、1つになっていたから。受け入れる側の柚陽の負担は、計り知れない。
「オレ等、少しは落ち着くべき、なんすかねぇ?」
答えが返ってこないのは分かっているけど、疑問を1つ。とは言え、無理だ。
柚陽が「今日は体調が良くなくて」とでも言った日ならまだしも、可愛い恋人と一緒にいて何も感じないくらいには、枯れちゃいねーっす。まだまだ若いからね。
とは言え、陸斗も疲れていないワケではないし。そろそろ寝ようかと、柚陽のほっぺに軽くキスを1つ。
「おやすみ、柚陽。大好きっすよ」
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