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教室にいる他の生徒たちは細かい事情を知らないだろうけど、当人たちは知ってる。簡単に忘れられることじゃない。
ある程度事情を知ってるはずの空斗 がにこにこ、嬉しそうにしたままなのは、やっぱりガキだから、といったところか。
正直、陸斗 は海里 に対して、悪い事をしたと思ってはいない。復讐だ。当然のことをしただけ。
あの時のような強い憎悪は断ち切れたけど、だからと言って後悔や反省はまるでなくて。それでも、気まずいんだから、厄介だ。
この先絶対、海里と会わないと思っていた。復学出来ないだけの、なんなら外に出れなくなるほどの事はしたのに。
やっぱ、ガキは嫌いだし、いくら大好きな柚陽 の子供で、柚陽と付き合えるきっかけになったとしても、陸斗は思わずにいられなかった。この疫病神。
そんな意思を持って睨んでも、空斗のにこにこ笑顔は、一瞬だって曇らない。ほんと、なにがそんなに嬉しいんすか。
ワケが分からないし、このまま海里と見つめあってるのは辛い。陸斗は逃げる様に目を伏せて、はっ、と、目をみはった。
「アンタ…………足、」
ぽつりと、そのままに漏らしてしまう。復讐する前だったら、海里の足なんて千切れたって良いと思っていたはずなのに。
海里の青白くて、折れそうに白い、不健康極まる体。それは足だって同じで、ゾンビみたく気持ち悪い肌色をしてるだけなら、陸斗だってこうもビビらない。
足。
思わず呟いてしまったけれど、陸斗には、その先の言葉なんて分からなかった。ざまあみろ?違う、それだけの燃料はない。かと言って心配はしてない。
海里の足には包帯がぐるぐる巻かれていて、でも、少し赤く染まっている。足の方向も、なんか、変な方に向いてる、気がする。
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