fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
それで崩れていくんすかね? 5 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
5
作者:
夜煎炉
ビューワー設定
143 / 538
5
陸斗
(
りくと
)
の脳内に一瞬浮かんだのは、「あの日」。
柚陽
(
ゆずひ
)
と本当の意味で幸せになれた日。つまりは、ようやく復讐を果たせた、あの時。 陸斗はあの日、電話で心当たりを呼び出してから何があったのかを、正確には知らない。だけど、あの時、陸斗が自習室を出た時までは少なくとも。 荒れた自習室。散らばった机や椅子。 その内の1つに挟まれていた、
海里
(
かいり
)
の足。 あの時机に挟まれていた海里の足は、包帯をしてる方だった。 心配も後悔もしていない。しかし、海里の包帯から目を逸らす事も出来なかった。 「あ、ああ。足な、ちょっと捻っちまって。……ほら、帰ろう?
空斗
(
そらと
)
」 「そっすか。案外ドジなんすね」 見え透いた、嘘だった。案外本当かもしれねーっすけど。平気で人を騙す淫乱の考えてる事は、やっぱり分からない。 恨みも憎みもしてないけど、海里が陸斗を騙した事実は変わらないんだから。 だからこそ、空斗が口にした事が気になった。ガキが口にした意味の無い発言っすよ、なんて、自分の中で受け流す事ができなくて。 「海ちゃん、せっかく陸がいるのに……」 「……ちょっとそのガキ連れ帰んの、待ってくんねぇっすか?」 偶然にも声が重なったのは、陸斗にとって不愉快で、思わず顔が歪む。 海里は驚いて、一瞬だけ、寂しそうに微笑んだ。 それだけで、何も言わなかった。
前へ
143 / 538
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
夜煎炉
ログイン
しおり一覧