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「えっと、オレはパパに頼まれて、陸と海ちゃんのおうちに行ったの」
「……もうソコはオレの家じゃないっすけど。それで?」
話の腰を折るようだけれど、否定はしておかないと。と言うより否定をしてから、話の腰を折ったと気が付いた。
案の定空斗 は、きょとん、と陸斗 を見てる。話を逸らしたかもしれない。面倒だし、ガキを相手にするのは厄介だけど、続きを聞きたい以上、軌道修正は自分でするしかないだろう。
海里 に、ソレを望めるとは思えない。なんとか適当な言葉を探していたところで、
「あそこ、オレが行った時は、陸のおうちでもあったんでしょ? 陸は、海ちゃんを捨てて、あのおうちも捨てて、出て行っちゃったから……」
そんな陸斗に構わず、空斗は話を続ける。
どうやら話の腰を折ったと思っていたけど、そうでもなくて、結構「正解」だったらしい。
正解だったらしいけど、意味が、答えが分からない。問題文とまるっきり違う事を書いたのに、丸が付いた。そんな感じ。
子供じゃないし、柚陽 の様な可愛い童顔でもなくて、クセもついてない。だから実際に首を傾げたりはしないけど、心境としては首を傾げたい。
「だから、それはどーいう事なんすか?」
「陸は海ちゃんを捨てちゃったんでしょ? パパの考えていた通りに」
「……空斗、もう良いって」
「良くねぇっすよ! オレは……」
空斗を止めようとする海里に、こっちは話を聞きたいのだと反射的に言い返して、ふと、口を閉じた。
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