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それで崩れていくんすかね? 8 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
8
作者:
夜煎炉
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8
海里
(
かいり
)
の目が、揺れている。今にも涙をこぼしそうに。悲痛に。まるで痛みを堪えるみたいに。 そんな海里に、ふと、
陸斗
(
りくと
)
の脳裏に可能性が1つ、過ぎる。嘘だと決め付けた話。
波流希
(
はるき
)
から聞かされた、あの、話。 もしも。もしも万が一、波流希が言うように海里が、自分のおかれた環境を嫌がっていたのなら。 世間とはズレた家庭で育って、それでも知識と見よう見まねで、「普通」を振る舞おうとしていたなら。
空斗
(
そらと
)
に、偽物でも「普通」の家庭を、って考えていたなら。 空斗が、言ってしまえば無邪気に、「自分は親の色欲のために使われてる」なんて語るのは、聞きたくない、だろう。 反論の言葉は、飲み込むしかなかった。 陸斗と海里が黙り込んでしまったことを不思議に思ったのか、こてん、空斗の首が倒される。「海ちゃん、オレ、話さない方が良い?」そんな風に、海里に聞いた。 「……無理はしなくて良いよ、空斗」 「無理じゃないよ。オレも陸に聞きたかった。それで、それで良いのって」 きらきら、まっすぐに空斗は海里を見つめてる。海里に懐いているのは知ってるけど、子供のそういうのとは、なんか、違う気がした。 海里の目は潤んだまま、「そっか」やさしく呟いて微笑むと、空斗の頭をそっと撫でた。
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