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「悪かったな、話の腰を折る様な真似して。最近、はるにぃも港 も、過保護で困るんだ。心配してくれてるのはありがたいんだけど、最近心配性に拍車がかかってて、さ」
陸斗 が考えていた事は海里 にも分かったんだろう。肩を竦めながら言葉を続ける。
以前の陸斗なら「言い訳っすか?」なんて冷たく言うと同時、空斗 がいるのも気にしないで突き飛ばしていたかもしれない。でも復習を済ませ、空斗の言葉に何か大きな引っ掛かりを持ってる今、そうする事は出来なかった。
「音量も、なにかあったら聞こえるようにマックスにしとけ、って2人から何度も言われて。ははっ、もう迷子になるような年齢じゃないのにな」
「……オレのせいっすか」
嫌味ではない。卑屈になってもいない。だからと言って反省もしてないし、やった事に後悔も罪悪感もないけど。
肩を竦めて、どこか困ったように笑う海里に、陸斗は思わず呟いていた。海里は驚いて陸斗を見つめるけど、こんな事を言った自分に陸斗自身も驚いている。
回復は、海里の方が早かった。
ゆるゆると首輪振り、穏やかな笑顔を見せる。でも目元が悲しそうに見えてしまう。隠しきれない疲れが滲んでいて、却って痛々しい。
「お前は悪くないよ。お前は当然の事をしただけ。オレの自業自得だ。……帰ろうか、空斗。はるにぃが心配する」
「……海ちゃんは、それで良いの?」
「良いんだよ」
「海ちゃんはガンコだね」
「それ、港かはるにぃから聞いただろ」
「うん! でも海ちゃん。オレ、陸にもう1つだけ聞きたい」
海里を心配そうに見つめていた空斗の目が、陸斗をまっすぐに見上げる。
この目に見上げられる事は慣れていた。ほんと、特にお目目はソックリっすからね。でも、慣れているからこそ、そっくりだからこそ、陸斗は戸惑いを隠せない。誤魔化せない。
真剣で、どこか問い詰めるようで。でも同乗するような眼差しは、幼い子供が出来るものじゃない。多分空斗本人は、自分の中の感情をほんの1割くらいしか認識できてないだろう。
そんな、子供が見せないような目線に晒されたことも、もちろん。
柚陽 と同じ目が、絶対に柚陽が見せないような顔で自分を見ている。その事実が更に陸斗を動揺させる。恋人譲りの目を持った、恋人の子供越しに、今まで見たことのない顔を見るなんて。
素手で心臓を握られるって、こんな感じっすかね?そんな気持ち悪さが、陸斗を支配していく。
「陸はほんとのほんとに、パパの思い通りになって良いの?」
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