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足を引きずって帰っていく海里 の後ろ姿を、結局陸斗 は、ぼんやりと見送るしかできなかった。
子供の目からも包帯を巻かれた足では歩き難い、っていうのは、よく分かるんだろう。小さい体で頑張って海里を支えようとしてる。
姿形は似てないし、前はそれが、凄く嫌だったっていうのに、こうして見るとまるで、海里と空斗 の方が親子に見えてきた。
「……りっくんもやさしいけど、海里くんはやさし過ぎるよね」
同じように彼等の背中を見ていた柚陽 が、ぽつり、呟いた。オレが、海里が、やさしい?柚陽の人を見る目は、時々怪しくなるっす。
でも、折角の柚陽からの好意を跳ね除けたくはないから、陸斗は小さく微笑む。柚陽のふわふわの髪をやさしく撫でた。
「オレは、そんな事が言える柚陽が1番やさしいと思うし、オレがやさしいとしたら、柚陽にだけっすよ」
「えへへー! えへへっ。りっくんの特別になれるのは、嬉しいなぁ」
弾んだ声で歌うように言う柚陽が可愛くて、陸斗は微笑んだ。嫌な予感はもう、ほとんどなくなってる。
だから更に無視するように、今の幸せに浸るように、柚陽の頭を撫でる。それから、人の目がないのを良い事に頬にキスを1つ。まあ、人がいても気にならないっすけどね。
一瞬きょとんとして、顔を赤くしながらも笑顔を浮かべてくれた柚陽に、「大好きっすよ」微笑んだ。
ああ、オレはこんなにも幸せっすよ。
何か言いたげな空斗の顔が、ほんの一瞬だけ、チラついた。
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