「おい、なんで電話切ったんだよ！　やっぱお前」なんて文面からでも怒りが分かるメッセージを見ながら、「今は待ってほしいっす」「アンタの都合に合わせるんで会って話したい」「ただ、オレに原因があったんで。謝っても謝りきれないっすけど、一言謝っておきたかった」と、自己満足だとは思いながらも陸斗(りくと)は返信する。 　陸斗からの連絡を見る前に打ち込んでいたのか、それとも連絡を見ても納得していないのか。港(みなと)からの問い詰めるようなメッセージは、もうしばらく続いて、それから「分かった」というシンプルな了承に変わる。 　その後指定された日程に了承を返して、陸斗はケータイをしまう。しまおうとして、また感じた振動に手が止まる。少し様子を窺ったが、もうそれ以上送られてくる気配はなさそうだ。 　ケータイ画面にもう１度目を落とせば、やはり港からの連絡が１件。「あんま、思いつめるなよ。１人で判断すんな、って言うか」なんていう、結構やさしい文面。 　思わずその画面を開いたまま、陸斗は苦笑する。胸はやっぱり痛かった。 「オレにはやさしくされる資格って、ないっすよ。港」 　柚陽(ゆずひ)を起こしてしまわないように気を付けて、小さく小さく呟いた。