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一瞬、足が止まってる間にちらついたのは、海里 の足だった。
陸斗 が机で潰した足。包帯が巻かれて、赤くにじんだ、ちょっと奇妙な方向を向いていた足。重い椅子で潰されていた足。グロテスクとしか言えないような状態になっていた、海里の足。
それから、あの、怯えて震えた海里。あんなに震えて、逃れようとしてたのに、必死で「ヤってほしい」「オレこういうの好きだから」そう訴えて。「だから刺さないで」なんて口にした、海里。
ああ、もう。
ぐしゃっと、陸斗は自分の前髪を掻き上げる。
この期に及んで躊躇うとか、まだ縋るとか、なに考えてるんすか。オレは。
「はあ」
溜息を1つ漏らして、陸斗は再度、足を動かす。柚陽 の歩くスピードが少しだけ元に戻った気がした。
着いていった先に何があるのか。柚陽は何を考えているのか。自分が何をしたいのかさえも、陸斗には分からない。分からないけれど、「このままにしておく」っていう事も出来なくて。
足の重さを感じながらも、陸斗は1歩1歩を踏み出していく。
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