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 途中吐きそうになりながらも、なんとか全てを言い終える。陸斗(りくと)に場所を知られた以上、そのままあの廃工場を使うとはあまり思えないが、一応は場所も併せて。  話している陸斗も不快であれば、聞いている(みなと)も不快だったのだろう。顔は話す前より強くしかめられてるし、ガシガシと頭を掻く手にも力が増している。爪さえ立てかねない勢いで。顔色の方も悪い。真っ青になってる。 「ほんとアイツは相変わらずだな……。なんも変わってない」  そんな風に顔を真っ青にしつつも、心底不愉快そうに、イライラとして吐き捨てた。両目には憎悪の色さえ宿っている。下手をすれば陸斗を見ていた頃よりも、その目は憎しみで燃えてるんじゃないだろうか。  はあ。思わずというように港から漏れた溜息にも、怒りが、疲労も、表れてる。 「ああ、悪ぃ。お前は大学に入ってからの付き合いだもんな、知らないか」 「まあ、高校までは海里とも全く違ってたし、海里(かいり)に会うまでは他人に興味なんてなかったっすからねぇ……」  もし高校から、あるいはそれより前から会っていれば、なにか変わっていたんだろうか、なんて。思っても仕方ない事だっていうのに、つい考えてしまった。そんな自分に苦笑を浮かべたつもりで、けれど浮かんだ顔は、苦笑とも、しかめっ面とも、なんとも言えないような顔をしていたと思う。  高校の時に会っていたからと言って、海里に惹かれていたかは分からない。そこで海里と惹かれて、万一付き合えることがあったとしても、それは柚陽の暴走を助けただけかもしれないし。  なんて。  今更考えても仕方が無い事に悩みそうになる陸斗の意識を「責めてねぇよ」港の、苦笑交じりな声が引き戻した。

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