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だって。だってだって、こんな事って、あって良いんすか?信じられない。困惑と絶望を抱えて、陸斗 は目の前の紙を見つめた。ただただ、ぼうぜん、と。
絶望に襲われたのは陸斗だけでなかった様で、港 は「テメェ、この……柚陽 ぃ!!」やり場のない感情を、怒声に変えて叫び、波流希 は今まで陸斗が見たような、温厚な表情、目が笑っていない微笑みさえも削ぎ落として、ただひたすらに無表情だった。もちろん、病院には不適切な港の怒声を誰も注意する余裕なんてない。
少なくとも、陸斗たちには。
陸斗たちがこうした反応を見せた理由を、全て分かりながら。
もしかしたら全て「計画の範疇」でありながら、柚陽は少し、顔をしかめた。それから「め!」小さな子供に言うように、小さな子供が言うような叱責の言葉。まるで親しい友人や恋人同士の戯れのように、港の額を自分の人差し指で軽く小突いた。
それが、港に対して不快でしかないと。
港の怒りを増長するだけだと、分かっているだろうに。
「こんな遅い時間だし、ここは病院だよ? 騒いだら、め!」
「……誰がそうさせてると思ってるんすか」
柚陽は無邪気に笑って。港は憎悪に浸って。
そんな不格好でアンバランスな睨み合いを、陸斗は最後まで見守ることはできず、呟いた。
港のことも、波流希のことも、正直良く知らねぇっす。でも、何も考えずに声を荒げるタイプじゃない。そりゃあ、港はケッコー真っ直ぐで、感情的だけれど。自分、つーか、「海里 の為に」不利になる事は一切しない男だ。
でも、柚陽の行動は。柚陽の言葉は。今、「トドメ」とばかりに突き付けられた紙切れは。
そんな男の喉を強く震わせるのに、十分過ぎた。
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